【データで見る日本の食事情】食料自給率をG7で比べてみました!

 日本は食料を輸入に頼っている、という話をよく聞きます。「お米はほぼ100%国産だと思うし、お肉だって私は国産を買っている!」そんな方も多いと思いますが、さて日本の食料自給率は一体どのくらいなのでしょうか。今回はG7(世界の主要7カ国/フランス、アメリカ、 イギリス、ドイツ、日本、イタリア、カナダ)で品目別の自給率を比較してみました。

食文化の変化に伴い、低下の一途をたどる穀類の自給率。

資料:農林水産省HP「諸外国・地域の食料自給率等について」(2017年)より

まずは穀類、いわゆる主食ですね。米、麦、とうもろこし、そばなどの他に飼料用穀物も含まれます。日本は7カ国の中で最下位でした。

日本人の食生活はもともと国内で生産されるお米や野菜を中心としていましたが、1950年頃から徐々に欧米風に変化し、パンや肉を多く食べるようになりました。学校給食ではパンと牛乳が定番でしたし、高度経済成長期には人々は生活が豊かになるにつれ、外食を多くとるようになってきました。また、1970年代からはハンバーガーなどのファストフードが爆発的な人気となりました。パンは原料となる小麦のほとんどを輸入に頼っています。

そして畜産物(肉・卵など)に関していうと、油脂類以外は自給率はさほど悪くありませんが、飼育されている動物の飼料用穀物を大量に輸入しています。例えば国産牛肉1kgを生産するためには11kg(10倍以上!)の穀物が必要と言われています。つまり国産のお肉を食べれば食べるだけ穀物の輸入量が増え、日本の食料自給率は下がってしまうのです。

日本人の主食であるお米は確かにほぼ100%自給ですが、その消費は年々下がり続けています。日本各地の農家様が品種改良を重ね、味にこだわった新しいブランド米がどんどん発表されているにもかかわらず、米離れの傾向が止まらないのはとても残念でなりません。

 

みんな大好きポテトチップス。いも類は健闘するも6位。

資料:農林水産省HP「諸外国・地域の食料自給率等について」(2017年)より

いも類の自給率、順位は6位ですが74%と比較的高い数字です。しかし実は1970年くらいまではほぼ100%でした。じわじわ下がっていますので、今後が少し気がかりです。

かつて(2015年の話です)「食料輸入を止められたらコメの代わりにイモを食べればいい」との試算が農林水産省から発表されたことがあります。輸入をゼロと想定して国内の農地をフル稼働した場合、コメを中心に作付を行うと成人の1人1日当たり必要なエネルギー量を下回るが、イモを中心に生産した場合は必要なエネルギー量が満たされるそうです。この試算発表は当時、『戦時中を思わせる想定だ』とネット上で物議を醸しました。荒れ果てた耕作放棄地のフル活用も想定しての話だそうで、高齢化や後継者不足という農業の抱える問題を全く無視しているようで、ちょっと『?』がつく内容に思えます。

 

自給率は低いがニーズは高い!頑張れ、国産大豆!

資料:農林水産省HP「諸外国・地域の食料自給率等について」(2017年)より

味噌やしょうゆはもちろん、豆腐、納豆、煮豆、油揚げなどなど、日本型食生活になくてはならない豆類の自給率。驚いたことに一桁です。大豆は地域ごとの単収にばらつきが大きく、1961年に輸入が自由化されてから販売農家数も減少の一途をたどっています。

しかし近年は徐々に農家の規模拡大が進み、1戸あたりの作付面積が増えて単収の増加に繋がりつつあります。また、大きなニュースとなった遺伝子組換え大豆の問題もあり、今後も安心して食べられる国産大豆のニーズは増えていくと思われます。未来を担う子供たちのために、国産大豆の増産、応援します!

 

野菜類では日本3位入賞。果実もまずまず健闘していますが…

資料:農林水産省HP「諸外国・地域の食料自給率等について」(2017年)より

資料:農林水産省HP「諸外国・地域の食料自給率等について」(2017年)より

健闘しているように見えますが、野菜は1969年まで自給率100%を超えていました。年々深刻化する若年層の野菜離れと担い手不足。消費と供給の両面に問題があります。果実も同じく1960年ごろまで自給率は100%超。日本列島は北から南までその気候に合った様々な種類の果実に恵まれており、またビタミンやミネラルは人間にとって重要な栄養素です。にも関わらず日本人の消費量は欧米人に比べて1/2以下なのだそうです。

近年はヘルシー志向の若者も徐々に増えており、国も食育に力を入れています。単に食料自給率を上げるためではなく、健康で元気な毎日を送るために、普段から野菜・果物の摂取を心がけましょう。

 

海外への依存を抑えて、日本の体力を強化しよう!

国によって特徴や事情は様々ですが、残念ながら日本の自給率の低さは目につきます。下の表は日本の食料自給率の推移です。(1961年〜2018年)1961年には78%もありました。今ではその半分以下です。徐々に下がっているのはよくわかりますが、しかし過去の実績を考えると、少しづつでも回復させていくことは決して無理な話ではありません。

▼日本の食料自給率(カロリーベース)の推移

資料:農林水産省「平成30年度 食料需給表」より抜粋。

そのために私たち農業機械メーカーが、技術水準をどんどん高めていくことはもちろん大事です。しかしそれだけではなく、国民一人一人ができることもあります。地元で作られた農作物を地元で消費する地産地消や、お米を主食とした日本型食生活の実践。一人でも多くの人が「ライフスタイルの多様化」に惑わされず、栄養価を考えたバランスの良い食事を摂るよう心がければ、自ずと食料自給率は上がるはずです。

急きょ日本の貿易が止まる。地球規模で干ばつが起こる。そんなことありえない、と断言できるでしょうか。異常気象は今や地球全体で起こっています。新型ウイルスが世界中に脅威をもたらし、国際紛争も絶えません。何が起こってもおかしくないこの時代において、食料自給率を向上させ、国としての体力を強化することは、これからの日本にとってとても大事なことではないでしょうか。